介護の資格があるとなぜ給与が上がるか

特に資格を持っていなくても一般の介護職に就業することはできます。一体資格がないとできない仕事となくてもできる仕事は何が違うのでしょうか。

大きく言うと、一対一での介護をするかどうかです。

例えば、訪問介護は一対一の介護ですので資格が必要です。また、同様に福祉用具貸与や居宅介護支援なども資格が必要です。

施設介護や地域密着型介護、在宅介護のうちの一部は複数対複数の介護ですので、資格は必要ありません。

必要はないのですが、サービスによって要件が異なりますが、サービス体制強化加算という介護保険の加算をとるための要件に対して、特に介護福祉士の資格は大きな役割を果たします。

1人だけ持っていてもだめなのですが、全体の○%以上という感じの要件を満たすと、事業所の収入が増えますので、それに貢献する介護士の給与があがるのは自然なことかと思います。

また、一部サービス(訪問入浴介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護など)では、実務者研修や基礎研修をお持ちの方なども加算要件に入ってきます。

訪問介護はこれとは別に特定事業所加算というものが設けられており、旧ヘルパー1級をお持ちの方に関しても加算要件の含まれてきます。

いろいろこ難しいことを書きましたが、つまりは上位資格を持っていると、事業所の収入が増える可能性が高いため、資格を持っていない方よりも優遇、結果給与が上がるのが一般的だということです。

平日昼間以外に働く2

例えば17時間拘束の夜勤の場合、17:00~翌10:00というものが多いかと思います。お食事の時間は、誤嚥や服薬など気をつけないといけないことが多いため、できうる限り複数の人がいてほしいからです。

この場合、最初の8時間が通常勤務でその間に1時間休憩、そのあとが残業という考え方になります。16時間ということは2日働くのだから、もう1時間休憩を与えなければならないのではと考える方も多いのですが、現行法では残業に対しての休憩時間は特に規定がないのでこのようなことになります。

そのため、以下のような時給計算がされます。

 

16:00~22:00(一般的にはここで休憩を取ったことになります) 通常時給

22:00~翌1:00 深夜割増のため、通常時給×1.25

翌1:00~翌5:00 深夜割増および超過時間割増のため通常時給×1.5

翌5:00~翌10:00 超過時間割増のため通常時給×1.25

 

つまり、計算上上記のような働き方ならば16時間の労働に対して、最低20時間分の時給を払わないと違法です。これを時給計算+深夜手当といった感じで4時間分以上の設定をしてることがほとんどかと思いますが、これを指標とすれば夜勤者に対して手厚い施設かどうかの判断がつくかと思います。

なお、どの業態でも共通ですが、土日祝日に対しての勤務に介護保険の加算はありませんので、土日祝日業務に割増賃金を払っている施設だとしたら、それは処遇改善加算から支払われているか、あまりないとは思いますが運営会社の持出です。どちらにしても介護だからではなく、一般の労働としての対価を払っているバランス感覚のある会社でしょうから、このような手当がある会社はある程度信頼がおけると判断してよいと思います。

 

平日昼間以外に働く

給与が上がる要素として、夜勤もしくは土日祝日に働くというものがあるかと思います。特に、夜勤は22:00~翌日5:00までの間は時給換算で1.25倍の給与を払うことが法律で決められています。また、この時間の労働力は他業界とも取り合いになるため、別途手当が出ることも多いかと思います。

この時間帯は労働基準法上の夜間帯であり、介護の場合には3対1の介護という別の側面が出てきます。これはよく入居者の方3名に対して1名の介護士が必ずいると勘違いされがちですが、そうではありません。

6:00~21:00の間に、休憩を除き8時間働くことができる人員(このことを人工「にんく」といい1人工、2人工のような単位として使います)、が、入居者の方3名に対して1名の割合でいることを指します。

例えば認知症対応型共同生活介護(いわゆるグループホームですが、障碍者グループホームと混同されがちなのであえてこちらで表現します)の場合、1フロア9名の入居者の方がいらっしゃるので、3人工が必要になります。

しかし、別に休憩等を含めて誰も配置できない状況をつくってはいけないと定められているため、例えば極端な例として6:00~15:00の間に3人工を配置して、15:00~21:00は誰もいないというのは認められません。

21:00~翌6:00は1名でよいのですが、もし21:00~翌6:00というシフトで夜勤者を配置すると、効率を考えるならもう一人工を6:00~15:00、さらにもう一人工を12:00~21:00という配置をしないといけないため、いわゆる16時間夜勤という17時間働いて1時間だけ休憩という一般的な労働者からすると過酷なシフトが出来上がります。

長くて複雑化してきたため、次回も同じテーマで書こうと思います。

介護職の給与を決める要素

スカウト機能があるような求人メディアでは、ご自身が希望する年収を示すことができるものがあります。これは前回ブログで記載しましたが、月収だけでは実際の年収が推し量れないためぜひ活用するべきです。しかし、ご自身の希望と実際の相場にあまりにも乖離があると、まったくスカウトが来ないことが考えられます。

介護職もある程度年功がありますが、介護職の給与を決めるのは主に以下の要素かと思います。

・夜勤や日曜・祝日の勤務の有無

・お持ちのお資格

・役職や役割

・働くサービス

・処遇改善加算の配分方法

・働く場所

・残業もしくはインセンティブ

もちろんほかの要素もありますが、そのため一部の例外を除いて、同じような業態で同じような働き方で同じような勤務形態でもっと給与が欲しいという転職はあまり成功しないと思います。

次回からはこれらについて詳細を書いていきたいと思います。

介護求人は月給の差=年収の差ではない

介護の求人はできるだけ目立ちたいため、1ヶ月給与を高めに見せたい求人が多く見受けられます。

前回のブログで約370万円の求人は月給で約31万円でしたが、いわゆる年俸370万円で12分割で支払うのがこのパターンです。ここには処遇改善加算なども全部含まれますし、賞与もありません。

ここで、賞与も合わせ14分割する年俸制というのも存在し、その場合には月給が約26.4万円になりますが、年収ベースでは一緒です。

また、処遇改善加算を一時金として別払いにするパターンも存在し、介護福祉士の方であればおそらく年間40万円程度の処遇改善加算を受け取ることができると思いますので、12分割ですと27.5万円、14分割ですと約23.6万円です。

さらには、夜勤のある介護職の場合には深夜の割増賃金の関係で年俸制がそぐわないため、月給制にして夜勤手当を別に設けている場合と、夜勤○回分の夜勤手当が含まれているという表現がされているパターンもあります。たとえば、夜勤手当を7000円と設定している施設であれば、週1回(簡単のため月5回としましょう)で3.5万円です。23.6万円の中には夜勤手当が3.5万円含まれているかもしれず、それを誠実に表現している会社では「月給20.1万円、別途夜勤手当7,000円/回」と表現しているでしょう。

つまりは、月給20.1万円と月給31万円の求人案件があったとしても、その条件如何によっては年収は一緒ということです。

介護職員の平均給与額

転職を志す介護職の方は、いろいろな観点から環境を変えるために転職をされると思います。その中で待遇、特に給与をあげようという方は少なくないかと思います。

厚生労働省が発表している介護職の平均月収ですが、 常勤の方ですと21年9月時点で31万5460円となっています。

でも、現在これより月収が少ない方がほとんどではないでしょうか。

実は、この金額は例えば夜勤をした場合の手当、賞与、処遇改善加算(介護職の処遇をよくするために介護保険から介護職の給与に充てられるものとお考え下さい)など、全ての収入を1ヶ月で平均したものです。

つまりは、平均年収は約3,785,520円ですよという意味です。これでしたらすでにクリアされている方もいらっしゃると思います。

また、介護職関係なく平均賃金は、東京や神奈川・大阪といった人口の多い都道府県に引っ張られる傾向が高く、かつその平均賃金は高めです。

そのため、大都市圏以外でご就業の方は、この平均年収より低くなる方が多いでしょう。また、介護福祉士のお資格をお持ちの方は高めに、無資格の方は低めになるのが一般的かと思います。

うまく転職をされるには、ご自身が介護職としてどのぐらいの位置におられるのかを客観的に評価して、ご希望の年収に近いような求人を選ばれるのがよいかと思います。どこかで具体的な話がしたいですね。

はじめまして

はじめまして、山下智と申します(本名ではありません)

介護の会社で働くには様々な方法がありますが、いろいろなメディアや方法があるため、どれを使っていけばよい会社と出会えるのかはわかりづらい状況にあるかと思います。

私自身が某会社で採用担当をさせていただいておりますが、ここでは中立的な立場から情報提供ができればと考えております。もしかするとただのグチを投稿するかもしれませんが、そのあたりは平にご容赦頂ければ幸いです。

 

できうる限り更新をしていければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。